公式データが示す「5月の急増」
警察庁が令和3年(2021年)から令和7年(2025年)に発生した交通事故を分析したところ、歩行中に死亡または重傷を負った小学生は5年間で1,842人にのぼりました。学年別では次の差があります。
- 小学1年生: 415人(最多)
- 小学6年生: 167人(最少)
- 1年生は6年生の約2.5倍
学年別の中間値は警察庁の公表資料には含まれていませんが、低学年ほど多く、学年が上がるごとに減少する傾向が一貫して示されています。複数の警察庁分析資料では集計期間によって約2.9倍と紹介されているケースもあります(令和元〜5年の集計では小1=472人・小6=162人)。
4月より5月のほうが事故が多い理由
新1年生の月別の死者・重傷者数を見ると、4月の49人に対して5月は63人と、わずか1ヶ月で14人増加します(警察庁の春の交通安全運動向け分析)。
5月にピークが来る背景
- 学校生活に慣れて緊張が緩む — 4月は親子登校や見守りが多く、子どもも周囲も緊張感を保っています。5月になると一人歩きが増え、注意力が下がります。
- 下校時の自由行動が増える — 学童・遊び・寄り道など、行動範囲と時間帯が広がります。
- 天候が良くなり外出機会が増える — 友達との寄り道、習いごとへの徒歩移動などが増加します。
「魔の7歳」とは
歩行中の死傷者数を年齢別にみると、7歳が全年齢を通じて最多となっています。これは小学1年生から2年生にかけての時期と重なるため、**「魔の7歳」**と呼ばれています。
事故の特徴——「横断中」「下校中」「午後3時台」
警察庁・政府広報のまとめによると、小学生の歩行中事故には次の傾向があります。
- 事故類型: 「横断中」が最多
- 目的別: 下校中の事故が最多
- 時間帯: 午前7時台と午後2〜5時台に集中。最多は午後3時台
- 原因: 死者・重傷者の約4割は飛び出しが原因
- 法令違反: 小学生の歩行中事故の約6割で何らかの法令違反が見られる(令和7年交通安全白書)
子どもは身長が低く運転席のピラーの陰に入りやすいうえ、視野も大人より狭く、夢中になると車の接近に気づきません。**「車から見えていない」「子どもからも車が見えていない」**という前提で対策を立てる必要があります。
GW明けに親子で点検したい5つの危険ポイント
このゴールデンウィーク後半は、まさに5月のピークを迎える直前。お子さんと一緒に実際に通学路を歩き、次の5項目をチェックしましょう。
1. 見通しの悪い交差点・カーブ
塀・植え込み・電柱・駐車車両などで左右が見えない場所を「止まる・見る・耳をすます」ポイントとして覚えさせます。
2. 横断歩道のない道路の横断箇所
通学路には信号も横断歩道もない道があります。基本は「車道は右、歩道は左」。歩道のない道は車から遠い右側を歩きます。
3. 飛び出しの危険がある場所
公園入口・友達の家の前・駄菓子屋など、子どもが興奮して走り出しやすい場所を一緒に書き出します。「友達を見つけても、必ず道の手前で止まる」を約束しましょう。
4. 下校時の遠回りルート・抜け道
入学から1ヶ月経つと、子どもは「ちょっと違う道」を試したくなります。指定通学路から外れる道、抜け道を実際に歩き、「ここは歩道がないから通学路にしない」と理由を添えて説明しましょう。
5. 「子ども110番の家」と緊急避難先
万が一危険を感じたとき逃げ込める黄色いプレートの**「子ども110番の家」**の位置を地図で確認します。コンビニ・交番・近所の知り合いの家も「困ったら入っていい場所」として覚えさせます。
親子で続けたい3つの習慣
習慣1: 「いってらっしゃい」の前に1つだけ確認 — 毎朝5秒、「今日の通学路で気をつけるところは?」と1つだけ聞きます。
習慣2: 帰宅後に「ヒヤリハット」共有 — 「今日、危なかったことある?」と聞き、答えてくれたら叱らずに褒める。共有してくれるからこそ次の対策ができます。
習慣3: 月1回の通学路リレビュー — 季節の変化で見通しや交通量は変わります。月に1回、地図を広げて「今月変わったところはある?」と一緒に振り返りましょう。
まとめ
- 小学1年生の歩行中の死者・重傷者は6年生の約2.5〜2.9倍
- 新1年生の事故は4月より5月(中旬〜下旬)にピーク
- 事故の最多は「横断中」「下校中」「午後3時台」、約4割は飛び出し
- GW明けは点検のベストタイミング——5つの危険ポイントを親子で確認しよう
入学からのこの1ヶ月で、子どもは見違えるほど自立します。だからこそ「ひとり歩きデビュー」が始まるこの時期、親子の通学路点検が事故から命を守る最大の予防策になります。

